股関節の痛み

股関節痛が起こる原因には、さまざまなことが考えられます。
中高年の女性の場合は変形性股関節症であることが多いといわれていますが、若年の場合は日常の習慣が原因で股関節痛が生じる可能性があります。

股関節痛が起こる原因として考えられるものは、次のようなことが挙げられます。

 

【股関節痛の原因】

●柔軟性の不足

股関節は骨盤と太ももとつなぐ役割をしており、日常的に負担のかかりやすい部分といわれています。
運動やストレッチ不足により筋肉や関節の柔軟性が低下すると、負担が過剰にかかる可能性があります。
負担が蓄積された場合、組織が硬くなり、股関節痛や股関節の動かしにくさにつながります。

●変形性股関節症

股関節を構成する骨や軟骨が変形してしまう病気です。
加齢にともない組織が老化することや、軟骨が経年のすり減りをすることが原因で生じると考えられています。
女性は男性に比べると筋力が低いため、股関節が変形しやすいといわれています。

●ホルモンバランスの乱れ

女性は妊娠をすると、出産に向けて徐々に骨盤が広がる傾向にあります。
そのため、産前と産後には骨盤とつながる股関節のバランスが悪くなりやすく、負担がかかりやすい状態です。
そのため、負担が蓄積されて筋緊張が起こり、股関節痛を生じることがあります。

また、女性ホルモンには関節の炎症を抑える作用や、痛みを感じにくくする作用があります。
産前産後はホルモンバランスが乱れやすいため、股関節の痛みを感じやすいことも原因のひとつだと考えられています。

●体重の増加

体重が重くなればなるほど股関節にかかる負担も大きくなるといわれています。
負担が大きくなると徐々に股関節のすり減りが起こり、痛みにつながります。

股関節痛は、股関節まわりに起こる痛み症状の総称です。
股関節痛の症状の特徴や、股関節痛と併発して起こる可能性がある症状についてご紹介します。

 

【股関節痛の症状】

●動作時痛

股関節痛は、動作時に痛みが強まることが多い傾向にあります。
足のつけ根あたりに股関節があるため、足を動かすと股関節まわりに負担が大きくかかるからです。
長時間の歩行、階段や段差の上り下りは、股関節にかかる負担が大きくなり、痛みが強まるといわれています。

●運動時痛

普段の動作では痛みを覚えることが少なくても、運動時に痛む場合もあります。
運動時は通常の動作よりもかかる負担が大きいため、痛みが出やすいからです。
歩く・走る・ジャンプするなどの運動で痛みが現れる可能性があります。

●坐骨神経痛

坐骨神経は、腰から太ももの裏側を通って足の先まで張りめぐらされている神経です。
股関節まわりの緊張や関節の変形で、近くを通る坐骨神経が圧迫されると、坐骨神経痛が生じるといわれています。
坐骨神経痛はお尻から足先までのどこかに生じるしびれ症状で、しびれ以外に足の脱力感を覚えることもあります。

●動かしにくさ

股関節まわりの組織が拘縮している場合や、股関節に変形が起こっている場合には、股関節に動かしにくさを覚えることがあります。
可動域が狭まり、違和感や引っかかりを覚える可能性もあります。

股関節は身体を支え、下肢を動かすための役割を果たす大切な部位です。
痛みや違和感がある場合には、放置せずにすぐに鍼灸院や医療機関で状態を確認してもらいましょう。
そして、痛み症状を緩和するために、次のような対処を日常で行うことがおすすめです。

 

【股関節痛の対処法】

●ストレッチをする

股関節まわりの柔軟性が低下すると筋肉や関節が硬くなり、痛みを覚えやすくなります。
ストレッチをすると血行が促進されて柔軟性が高まり、痛みの緩和につながります。
とくにお尻や太ももまわりのストレッチを重点的に行いましょう。

・お尻のストレッチ法
①椅子に座り、右足を左の太ももの上に乗せる。
②両手は前で組み、背筋は伸ばしたまま少しずつ身体を前に倒す。
③背中や腰、お尻の筋肉が伸びていることを感じる姿勢で10秒維持する。
④ゆっくり元の姿勢に戻り、反対側も同様に行う。

・太ももまわりのストレッチ法
①足を軽く前後に開き、前に出した足のつけ根に両手を添える。
②胸は張った姿勢のままお尻をうしろに引き、太もものうしろ側を伸ばす。
③前足のつま先を立て、20秒ほど姿勢を維持する。
④反対側も同様に行う。

●筋トレをする

筋トレで筋力が高まると、股関節まわりにかかる負担の軽減が見込めます。
そのため、動作時や運動時に生じる痛みの緩和につながります。
お尻や太ももとあわせて、体幹まわりも鍛えて股関節の安定性を高めましょう。

・お尻の筋トレ
①両手両足を床につけ、四つん這いの姿勢になる。
②片足を浮かせ、ゆっくり後方に蹴りだすようにして足を伸ばす。
③この動作を繰り返し、徐々に回数を増やしていく。
④反対側も同様に行う。

・太ももの筋トレ
①肩幅に足を開き、両手を腰に当てる。
②つま先よりも膝が前に出ないように注意しながら、腰をゆっくり落とす。
③再度ゆっくりと腰を上げ、できる範囲内の回数を繰り返す。

・体幹まわりの筋トレ
①膝を立てた状態で仰向けに寝て、両手で頭を軽く支える。
②ゆっくりと息を吐きながら上体を起こし、3秒ほど姿勢を維持する。
③ゆっくりと元の姿勢に戻り、できる範囲の回数を繰り返す。

股関節痛が生じると、歩く・走るなど日常の動作に影響が出る場合があります。
股関節痛が起こらないように日常生活のなかで予防を心がけましょう。

 

【股関節痛の予防法】

●ストレッチを習慣化する

股関節まわりの柔軟性の低下によって、股関節痛が生じやすくなります。
日頃からストレッチを習慣的に行い、身体の柔軟性を維持することが股関節痛の予防につながります。
とくにお尻や太ももまわりをストレッチしましょう。

●筋トレ

股関節まわりを鍛えると、股関節への負担の軽減につながります。
強い股関節づくりのために、日頃から筋トレを意識して行いましょう。
なかでもスクワットは太ももや股関節を鍛えることに効果的な方法です。

・スクワットの方法
①足は肩幅くらいに広げて立ち、足先は少し外側に開く。
②腰に手を当て、つま先よりも膝が前に出ないようにしながら、腰をゆっくり落とす。
③3秒ほど姿勢を維持し、ゆっくり元の姿勢に戻る。
④この動作を繰り返し、徐々に回数を増やしていく。

●適度な運動

運動不足になると筋力や柔軟性が低下し、股関節痛が起こりやすくなります。
日頃から適度な運動を心がけましょう。

ウォーキングは手軽で続けやすいだけではなく、足や腰を鍛えることが期待できます。
大きく手を振って大股で歩くことを意識してウォーキングしましょう。

当院では、まず主訴と通院歴の確認を行います。
症状の原因になっている場所を特定し、悪化または好転する姿勢と動きを把握します。

施術は、おもに徒手療法を用いて筋肉に対してアプローチを行います。
必要に応じて鍼灸施術や、ハイボルト、テーピングを行うこともあります。

股関節痛は、運動不足や筋力不足がおもな原因に考えられます。
施術後は、原因にあわせたストレッチや運動、筋力トレーニングを行っていただき、生活のアドバイスもさせていただきます。
それらを行うことで、疼痛緩和と再発防止を目指します。